9月植え付けの秋ジャガ(品種はデジマ)の表皮のガサガサ
~そうか病です!
佐世保市内のHM様が収穫したばかりのジャガイモとサツマイモのサンプルを持って来られました。どうしてこうなるのか?傾向と対策は?というお尋ねでした。
サツマイモの表面には黒いシミが・・・黒斑病ではないかと思いますが詳しくは病理検査を依頼しないと断定できませんが、問題はジャガイモです。
ジャガイモの病気で最も深刻なのが、この症状です。 表皮にかさぶたができたように汚いので売り物になりません。 害虫の被害ではなく、病気です。青枯病などは細菌。萎縮するモザイク病などはウイルス。一方この病気は菌類が原因です。 連作障害の代表的な症状です。
このような結果にならぬようにするには以下のポイントを押さえて、総合的に対処しなければいけません。
■ジャガイモは酸性に強く、そうか病は一般の菌類とは逆で酸性に弱いです。PH5位になるとほとんど発生しないといわれています。だから、普通の作物とは逆に生育阻害が起きない範囲でできるだけPHが低い弱酸性下で栽培した方がそうか病が発生しにくいです。したがって、普通の圃場では石灰の施肥は必要ないと思います。いや石灰はやらない方が良い!と考えていた方がよいでしょう。
■そうか病の病原たる菌類は収穫残渣に残留してそこで増殖します。そして次年度の病原となります。したがって、くず芋や、茎葉は土壌混和しないで全部栽培圃場外に捨てるようにしなければいけません。
また、種芋は病気にかかっていない事が確実な検定済の市販の種馬鈴薯を使うのが最も安全です。自家採種の種芋は必ず種子消毒をした方がよいと思います。
■ジャガイモはなす科です。トマトやナスやピーマンやパプリカ、唐辛子やししとうなど同じ仲間を植えた圃場では連作は禁物です。数年以上の間隔を空けて下さい。ジャガイモの後作にナス科果菜類をうえたりすると青枯病などの致命的な病気が発生しやすくなります。逆にナス科果菜類の後作にジャガイモを植えるのも同様です。そうか病もなす科の連作で発生しやすくなりますので注意が必要です。
さらに、ジャガイモ処女地でもかつてなす科を作っていなかったか? 水が流れ込む段々畑の上流にそうか病の発生しうる連作畑がないかどうか?も注意しておかなければなりません。
連作障害とは、ある植物の栽培残渣を餌とする微生物が極端に増殖し、土壌中の良好な微生物界のバランスが崩れることが原因でいろいろな病害が発生することをいいます。もとのバランスに回復できるまでに要する時間が連作障害を回避できる最低輪作間隔となります。
■未熟堆肥や過剰な施肥で発病が助長されるようです。
繰り返しになりますが、上記の全てを全てクリアーしていないとそうか病は発生しやすくなります。
例えばいくら市販の検定済の種子馬鈴薯をつかっても、石灰や肥料をたっぷり施肥した畑とか、ナス科を連作した畑とか、水はけが悪く未熟な発酵状態のバーク堆肥や窒素の多すぎる肥料を使った畑とか、・・・はダメです。
逆に、石灰をやらず、芋専用の肥料を最小限使い、畑も処女地で連作障害が考えられない畑でも、種芋がそうか病に感染しているとやっぱりダメです。 特に自家採種の馬鈴薯を使う時は要注意です。
繰り返し質問を受ける代表的なFAQです。ご存じの方も多いと思いますが、そうでない方もけっこういらっしゃるのではないかと思います。以前同じようなテーマを扱ったかもしれませんがとりあげてみました。
暖地である長崎県は秋作の馬鈴薯が多く作付けされていますが、1月以降今度は日本全土にて春馬鈴薯の栽培が始まります。栽培を始める前に上記のポイントを今一度チェックしてみて下さい。