今日、三人。一昨日二人。・・・・・
トマトが枯れました! 茄子が枯れました!
がっかりしたお顔で、一日に数人は必ず、同じような症状を訴えてこられます。最近特に多いようです。
残念ですが、そして、ほんとに言いにくいことなんですが、どうしようもありません。
あきらめてください!抜くしかありません!
昨日まで(曇天や小雨続き・・・)、元気だったトマトが、今朝、全体が萎れてしまっている!
特に雨天の後の晴天時に症状がひどく現れます。
青いままに、枯れてしまうので「青枯病」といいます。糸状菌などの病原体ではなく、細菌が引き起こしますので、発病してからではほとんど効果的な薬はありません。しかも、枯れている状態は、人間で言う血栓が大動脈に詰まった状態と同じなので、手遅れです。
※ウイルス<細菌<かび(糸状菌など)の順番で病原体は大きくなり、大きい程効果的な薬は多いです。
しかし、植物に関しては、ウイルスや細菌類など小さな病原体に対しては直す薬はほとんどありません。
教科書的に申し上げるなら、
①土壌病害、特に連作障害の一種なので、なす科の連作を避ける。
②高畝にして、水はけを良くする。
③青枯病抵抗性の因子を持つ品種か、それを台木にした接木苗を使う。実生の場合、青枯病がいったん発生するとほとんど畑全体が全滅します!
④線虫密度を下げる。有機質は特に線虫密度が低いものを使う。
などがあげられます。
しかし、・・・・・・それでも青枯病は発生する場合があります!
つまり、例え、接木苗を使って、連作を避けて作った畑でも青枯病が発生するときがあるのです。
連作をすると、梅雨の真っ最中の今頃の高温期、土の中は青枯病菌が蔓延しています。
しかし、連作をしなくとも、あちらこちらには必ずいます。ただ菌の密度が違うだけです。
だから、もし、根に傷が入るとそこから病原菌が侵入してしまえば、茎の導管内部に増殖し人間で言う脳血栓状態になってしまうという青がれ病の発病のメカニズム自体は全く同じように働きます。
であれば、菌があっても菌が侵入できなければ発病はしない?あるいは発病しにくいという理屈になります。
線虫など根を食害する微生物がいればとても発病しやすいです。逆に、マリーゴールドなど殺線虫力が強い植物を前作に栽培すれば線虫密度を下げられるので青枯病などの土壌病害対策にはとても効果的だと言えます。
線虫が原因でないときは?
原因は人間である場合が多い!
と、私がタキイの農場で講義を受けた記憶があります。(京都府立大の桂先生だったと思います)
雨が降ったり、畝が乾かない状態が長く続くと、酸素を求めて細根が地表に浮いてくるのだそうです。それを収穫や管理作業をする人間が無意識的に踏みつけ、その足圧で細根がズタズタに傷が付いてしまうのです。当然、そこを突破口に青がれ病菌が盛んに侵入増殖するので、青枯病が発生してしまう結果を引き起こす確率が高まります。
晴れている日などは根が地表に浮いてこないし、水分がないと菌が侵入しにくいので、病原菌が侵入するタイミングは雨の後の農作業時である!・・・・・と強く脳裏に刻めと教えられた次第です。特にトマトは水浸し状態が続くと台木の青枯病抵抗も失われてしまいます。
繰り返します。
◆接木苗を使ったからといって安心してはダメです!
◆雨の後水浸しになる畑ではトマトは作っちゃダメです!
◆露地栽培では、雨が降り続いたあと、畑にすぐに入ってはいけません!
畑が乾くのを待ちましょう!
※胡瓜や瓜類のツル割れ病/なす科の青がれ病について、以前も同じテーマで書いた記憶があります。
こちらもぜひ参照してみて下さい。 2013年 2012年
※画像はタキイの野菜病害の診断技術(絶版)より引用