玉葱苗 玉葱苗 玉葱苗・・・

春の玉葱自体の不作に続き 玉葱苗も極端な品薄でした
玉葱苗のレポート・・・になるのですが、まさに玉葱苗に振り回された11月。夢にまで玉葱苗が出てくる始末で、ストレスもマックス!
お客様の需要にお応えできなくてとても歯がゆい思いの連続でした。

11月22日現在、やっと需給バランスが落ち着きはじめ、玉葱を巡る狂想曲?も収束しつつあるようです。なぜ、このような事態になったのか?来年に向けての教訓とするためにも、振り返ってみることは意義深いのではないかと思います。

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10月14日 播種後4週間から1ヶ月経った、当店専用の玉葱苗圃場 かなり高冷地なので若干早蒔きをしています。土壌は玄武岩の風化した極端な赤土で、全体に痩せており、雨が降るとカチカチになります。堆肥をかなり投入しておりますが苗床に向くような土壌改良は道半ばの状態です。なぜこの地を選んだかといえば、比較的草の発生が少ない土地だからです。
後で述べますが、このカチカチが今年は当店を救ってくれたのです!
※なお1cm間隔1粒のシーダーテープにて播種しております。

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10月14日別角度より。今年の玉葱苗不足の現況は、台風、長雨、つまり天候不良です。しかも全国的にその様な傾向だったために、品薄に拍車がかかったのです。

この場所も、播種直後の大雨でかなり表土が流出しているのが分かりますが、その影響で発芽した苗がかなり消えております。

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10月14日、赤玉、早生の畝です。 実寸で15cm~20cm位です。斜めから移しているので一見上手くいっているようですが、発芽率は6割くらいではないかと思います。かなり苗が不足することが予想されました。生育がかなり遅れ気味!危機感を感じ始めました。

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10月24日、赤と早生の畝。前回14日の観察の際、生育遅延が感じられました。雨のため、表土がカチカチになっているため、根に酸素が行き渡らず肥料の吸収も弱くなっているのが感じられましたので、速やかに中耕及び葉面散布を行ないました。約10日しかたっていませんが、暖かい気温の影響もあり、11月には早生の出荷がなんとか始められそうに感じましたが例年に比べるとやはり遅いです。

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10月29日、苗がない・・・・ 雨の影響を強く受けた9月下旬蒔きの部分は苗が消えてしまいました。今期の苗不足の原因は正にこの長雨、少日照が原因だと思われます。この畝の部分は生存率50%を割っています。生育もかなり遅延していました。

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10月29日、雨の後。 以前より苗密度が薄くなっています。
日照不足のため葉色も悪い様な気がしました。

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11月5日 露地が99%ですが、保険の意味で作っていたハウスの苗
雨が少ないときはハウスでの玉葱作りは灌水がとてもたいへんなのですが、雨が多いときはハウス栽培は威力を発揮します。苗の重さも倍くらいに育っていました。

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11月19日 表土のゴロゴロスゴイでしょ! 赤玉葱が残っている畝のアップ1号です。
赤玉葱。毎年思うのですが発芽率は悪いのですが、普通の玉葱に比べると条件の悪い環境でも頑強に育つようです。実際今年の春も中晩生系の普通の玉葱が不作でも赤玉葱はそこそこ順調に生育したとの報告を多く受けたからです。

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11月22日 収穫した玉葱苗をお店に搬入直後の様子。
これから、夜遅くまで作業が続きます。ゴミや枯れ葉やゴミを除去し、本数を確認し、きれにそろえて結束します。 最盛期には毎晩11時くらいまで作業をします。体中に玉葱の匂いが染み込み、夢にまで玉葱苗が出てくる始末でした。(笑)

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11月22日 早生、中生、赤玉葱
販売できる様に調整した苗です。今年は店頭販売ができず、予約販売のみで終わりそうです。お客様の需要を満たせなくて、とても残念な気持ちでいっぱいです。

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11月22日現在 パラパラの苗床。ほぼ出荷が終わりました。後は太り次第12月上旬くらいまで販売していけるかな?と思います。

最後に、不幸中の幸い、なぜカチカチの畑がお店を救ってくれたのかのお話が残っていましたね。
通常ですと、フカフカで水とおりが良い畑が生育が良いのは当たり前のことですし、事実です。ところが今年は違いました。苗床を見てもらうと分かるのですが、畑の粘土分が流出し礫が露出しています。これだけ雨が多かったのですが、畝の全体の形は崩れませんでした。苗も台風など強い風雨にさらされながら倒伏しませんでした。カチカチだったからです。

また、表土が硬く締まっていたために、雨水が畝の表面を流れ内部にそれほど浸透しなっかったために過湿の害を免れたようです。これもカチカチの賜でした。
ただ、途中で書いた様に、カチカチのままだと生育が極端に遅延します(酸欠になり肥料の効きが悪くなるからです)。中耕をもう少し早くあと一回ほど多くできていたら良かったかなと反省しています。
以上、玉葱狂想曲の全貌です。
春の(青果物としての)玉葱不足に輪をかけた様な「玉葱苗」の品薄現象。来年も異常気象が続けば起こり得る事態かもしれません。天候だけは打つ手が限られるので二度あることは三度ある・・・!?
※生産本数が限られておりますので、現在ネット及び通販は行なっておりません。近隣のご来店いただけるお得意様用に販売しておりますのであしからずご了承下さいませ。

 

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