2月7日実施、
長崎県南島原市加津佐町でのスーパーアップ玉葱と加津佐13号玉葱の現地研修会のレポートです
なぜ「加津佐」?
それはスーパーアップの最も先進的な生産地。品種改良のルーツの地。
そして、スーパーアップ系最新品種「加津佐13号」の生まれ故郷の地だからです。
市川種苗店のホームページでもご紹介しておりましたが、親しみやすくその系統が分かりやすいようにと当初「スーパーアップ13号」として発売を検討していたのですが、原産地の名前を残したいという加津佐の皆様の強い要望から「加津佐(かづさ)13号」と名づけられた経緯がございます。ちなみに何度もご紹介しておりますが、1号から13号に番号が飛んでいるのは13番目の改良品種というわけでは無く、この品種を改良育成化された方のお名前が「一三(かずみ)さん」とおっしゃり、その一三様に敬意を表す意味で13号と命名された経緯があります。
今回は、育種元の赤尾専務様、上記の一三様、地元の採種組合員でもちろんスーパーアップや加津佐13号の採種および生産者の皆様、それに遠路淡路島から長崎を見たいと訪ねてこられた淡路島の玉葱生産農家の皆様、それに私を加え、約十数名が参加者でした。写真には赤尾専務様や一三様が何度も登場されますが、どの方が何というお名前かという記述は控えさせていただきます。ただ一つ言えるとすれば宴席の空席の位置に居て、いつもシャッターを押しているので写真に絶対載っていないのが私であります(笑)
加津佐の地は長崎県の東側の南端にあたり、沖合には天草の島々がすぐそこに横たわっています。天草は熊本県。こちらも超極早生のスーパーアップ玉葱の大産地となっています。
写真を見るたびに、長崎県はなんて複雑怪奇な形をしているのだろう!?まるで半島が阿波踊りをしているよう・・・(笑)
右側の島原半島は現在、農産物の一大産地となっています。
今年は10年分儲かった・・・などという農家の話が聞こえてきたり???
加津佐の海岸。前浜海水浴場。この風景は加津佐13号玉葱のラベルの写真となっています。背景のお山は岩戸岩。何か由緒のありそうな名前です。
とても美しい場所です。
夏は、ビーチバレーで盛り上がったりするそうな・・・
百笑会の中尾さん!百道の決勝に行けずに残念でしたね(私語でした(笑))。
加津佐南浜海水浴場の左側
浜から南を望むと、そこには蜃気楼!
遥かかなたの天草半島が反射しているそうです。
もうお分かりの通り、加津佐の玉葱産地は海岸の近く。日照時間が長く、冬暖かく、寒暖の差が少ない。こんな環境がスーパー超極早生の玉葱を生み出したのでしょうね!
淡路からはるばる来られた皆様。
現地研修を終え帰路につく前のひと時。「ここ、きれかね、よかところね(長崎弁)」と同じような関西言葉を言ってらっしゃいました(大笑)
現地研修会を終え、加津佐の皆様と赤尾専務様に昼食会を開催していただきました。現地でのお話に加え、突っ込んだ質疑応答が大変興味深く感じられました。
淡路の玉葱の主力は中晩生。極早生系の生産はごく僅か。これから生産量を伸ばしていきたい・・・・ただ今年はレタスがあまりに儲かりすぎたので来年はレタスばっかりになるのでは(大笑)などと話されていました。
2月7日、スーパーアップ(一部加津佐13号)の、収穫直前の圃場です
この時点で、250gくらいの大きさに揃っていました。播種は9月1日。定植は10月中旬だったと記憶しております(メモを紛失してしまいました・・・トホトホ老害だ)。
マルチは以前も書いたことがありますが、茶=赤色です。
大半がスーパップ、今引いている一部が加津佐13号
写真を見れば一目瞭然。今年は温度が低かったので、スーパーアップと加津佐13号の生育の差がそれほど顕著には表れていません。若干、葉色が違うのが分かる程度でした。
施肥量、有機質作りなどの説明。その量的な違いの大きさに驚いておられました。
後作は南瓜だそうです
土は、クロボクでもなく、赤土でもなく、写真のようなような褐色土。
一三様によると、根が深く張ることが良い生育につながる。「スーパーアップなどのスーパー超極早生系」は「貴錦などの極早生」より、かなり早い時期から肥大が始まる。だからその成長を阻害しないように土作りをし肥料切れしないようにどんどん太らせることが最も肝心なこと・・・要約すればこのように語られていました。
道の上段と下段の違いにご注目。今年は初期成育の差でこれほどの生育の差が生じています。つまり例年よりかなり収穫期が遅れそうなのが今年の特徴です。
玉葱のマルチについて
◆白マルチが最も促成効果が高い。しかし、扁平になりやすく品質は最もわるい
◆黒マルチは一番遅い。しかし、締まり具合や色合い甲高の形状等品質は最も良い。
◆茶マルチは白と黒の中間。つまりそこそこ早く品質も悪くない。だから収穫期を平均化する意味で三色を使い分けていらっしゃるとのこと。
こちらは10月の台風を苗の時期にもろに受けかなり初期成育が悪かった圃場。ほかでもこのような例を多く聞きます。今年は播種期の条件によってかなり出来栄え、収量が違ってきているようです。
品質検定に送り出す玉葱を選別されているところです。
左が加津佐13号 右がスーパーアップ
左側寄りから撮影していますので、差が出ているようですが、球の大きさにはほとんど違いは見られません。本来加津佐の方が葉がおとなしく葉色もやや薄いのですが、その違いは今回非常に小さかったように感じました。
スーパーアップの当日のサンプルです。
葉数は落葉を含めて平均12枚位でしたので必要十分な葉数です。
首の締まりも非常に良いです。ここが一三様の腕の見せ所。
葉で生成された養分がいち早く根に還流し首が締まってくる!だから同じ超極早生でもより味が良くなります。
①活着が順調で根が深く張り、
②十分な葉数を初期から確保しながら肥料切れせず、
③低温期でも十分な日照量に恵まれると、
スーパーアップのような低温伸長性の優れた品種はますます肥大が良くなります。
※加津佐13号の場合は栄養成長から根の肥大へのスイッチが早く切り替わるので温暖で日照時間に恵まれるとスーパーアップより1~2週間早く肥大できるのですが、今年は低温の影響を強く受けたせいか今回の視察ではそれほどの差を見出せませんでした。
しかし、2月上旬にこれほどの玉葱が安定的に生産できるとは実に凄いことです!!
上記のスーパーアップのサンプルは平均して250g以上でした。
生でサラダでいただきました。超美味!
一三様いわく、サラダにして食べる玉葱は絶対水にさらさないこと!
おいしさが全然違ってきます。
皆様の参考になればとの思いから圃場の視察をお許しいただいた一三様他原種育成会の皆様に心より感謝申し上げます。また淡路から遠路はるばる研修会に参加していだきましたT様以下本当にお疲れさまでした。最後に育種元の赤尾専務様には当日のお手配心より感謝申し上げます。記憶に残る有意義な一日でした。
最後に一言。
加津佐13号もすごいけど、スーパーアップの潜在力もすごい!